2008年07月30日

YAMAHA RD50 (中編その3)

(前回の続き)

RD50のCDI

ぎゃぁ何たることぞ.これは見紛う方なき C.D.I.ユニット.そうであった.今更思い出したが,この個体には C.D.I.が付いておったのだ.てぇことは中身にゃ幾つも半導体が入っておる.

いやはや「何が神様だこの馬鹿」と罵られても一言も無い.作業の初め頃にポイントカバーを開けてフラマグを目視点検した際,「あぁ C.D.I.か.ならポイントのメインテナンスは不要なり」と,後はすっかり頭の中から消え去っておった.

皆様にはこの失策を他山の石として戴きとうございますが,RD50が C.D.I.になったのは最終期の1年で (つまりこの個体は正確には27年前の81年式と云うことになりましょうが) ,参照したパーツリスト (昭和53年3月版) に C.D.I.は載っておらなかったこともあり,思い出さぬままだったのであります.発行年度からすれば,この後にまだ改訂版があるのだろうか.

然るにこの個体,何度見直しても回路内にレギュレータが無いことは間違いなく,電圧の安定化は専らレクチファイアで整流された直流がバッテリを経由することで簡略に済ませておる.つまりレクチファイアが断線すれば,発電された電気は全く安定化されぬわけで,それで C.D.I.が逝ったと思えなくもない.

# それにしても,レクチファイアが壊れた場合でも C.D.I. の配線は別系統ですから影響があるのも変な話ですが,断線の瞬間に如何なる突入電流が流れたか,再現検証は不可能ですしのぅ.ともあれこの RD が造られていた1980年頃というのは,アナログ電子制御の波がようやく原付にも及んで来た頃でもあり,迷走電流や電磁誘導に対して,やや脆弱なところ無きにしも非ず.
現代ならディジタル制御 C.D.I.ユニットは勿論,レギュレータのコスト如きは極めて安い,それどころかレギュレータとレクチファイアは統合化された1部品となっておりますから,このようなケチった回路設計はせぬのではないでしょうかな.

さても RD50用の C.D.I.など,今更 YAMAHA に在庫がある筈もございませぬ.しからば何か他に流用出来る物を捜さねばならぬ.出来れば今後オーバーレブなどした時の保険に,灯火系回路にレギュレータも追加しとぅございます.

# なぜ “保険” かと申しますと,こういう RD 等のような簡易な電圧制御回路ですと,長い下り坂などで設計想定以上のオーバーレブ領域を持続して使った場合,まず過電圧でレクチファイアが焼き切れ,次の瞬間には突入電流で灯火類が全滅するからでして,他ならぬ一回目のエントリで触れた中伊豆バイパスには,ちょうどそういう状況を誘うような長い下りの直線トンネルがございます.若き日のワタシはここで FX50に乗ってベタ伏せで110km に届かんとする時,この事態に見舞われまして,目の前が文字通り真っ暗になったことがございますね.今回も持主は初心者ゆえ,盲蛇に怖じずで,どんな無茶をするか解ったものではありませぬからな.

「そう都合の良い部品が右から左に見付かるものか」と思われるのも尤も.もとよりワタシも頃合の C.D.I.が見付からねば,いっそ旧型 RD 系のポイント式フラマグに換装しようかとも考えたのですが,現実とは御都合主義的なもので,折しも Yahoo! Auctions に,滅多に見ない YSR80の電装系丸ごと一式が安く出ておりましたので,これを使って再生することに致します.

# 周知の通り YSR は FX50に始まるヤマハ空冷単気筒353系エンヂンの末裔で,電装も6V なれば補機の大方は流用可能であろうし,近年の人気機種であったから部品調達性も良く,また80用の C.D.I.なら面倒なスピードリミッタ回路も無い.というところからの判断.これがワタシのバイクであれば,テキトーな有合せ部品で12V仕様でもデッチ上げるところですが,そうしてしまうとメインテナンスの必要があった時に持主の毛玉明の手に負えなくなろう.

【到着した電装系一式】
YSR80のハーネス
イグニションコイルや弱いウインカーリレー,後ストップランプ S.W.も付いていたので,スペアも出来てお買い得.

RD と YSR80 では,かなり年式に懸隔がございますが,実物の回路配線は配線の色も含めてさほど変りもなく,これならカプラ等の最小限の改変で済みましょう.もちろんレクチファイアはそのまま使えます.(具体的には C.D.I.に繋がる「黒/白」の配線だけが僅かに違っていた.RD は C.D.I.手前で黒/白と黒が合流しているが,YSR は合流せずに C.D.I.に繋がる.よって RD 用 C.D.I.は4本リード,方や YSR は5本リードである) 試みに新旧 C.D.I.を相互に入れ替えてみますと,旧 C.D.I.はやはり駄目になっておりました.
一方 YSR に追加されたレギュレータは,交流灯火系の上流を分岐して “保険” として繋ぐだけとなっており,このことからも YSR の配線は RD 等の部分改良型である事が察せられます.

そんなこんなで組み上がり,キック2発で蘇ったエンヂンに軽くブリッピングを呉れてみれば吹け上りは快調の様子,では,いざ走り出さん…

うむ.この系列の YAMAHA のトルク・インダクション式エンヂンは,レブリミットを超えてからのパワーの落ち込み (いわゆる “頭打ち” ですな) が顕著なため,キチンと9500rpm でのシフトアップを要しますが,そこまでの回転上昇は実に爽快で昔の記憶通りであります.やっぱり余計なデバイスのない昔の原付は良いのぅ.モリソバの美味さにも例うべし……おや赤信号だ一時停止.

パランパンパンパン パーッパパ パーッパパ パパパパパー

ん? 信号待ち中に何処からともなく変な音が聞えて来ましたぞ.珍しいバイクに釣られて変造スクータの DQN 暴走族がすり寄って来たか.そうか世間は夏休みか.困ったものよ.しかしこの RD ならガキのハンパなスクータなど鎧袖一触…

然るに周りを見回しても,それらしいスクータは見えませぬ.

ややや.この怪音は DQN に非ず.我が股下の RD から発せられておる音ではないか恥ずかしい.どうしたことだ.つい今までは何ともなかったものが.
と,あたかもロウソクを吹き消すようにフッとエンヂンが止まりました.一体何が起きたのか.どうやらこのお話,まだ続きそうな気配であります……

# 前後編で短く纏めるつもりのこのトピック,思わぬ長さになりました.しかしワタシは元来,このような修理譚を長々と語るを好まぬ.よって泣いても笑っても次回で完結させることに致します.いやまぁ現実には本日現在でも直ってはおらぬのですが.

(この項続く)

【関連エントリ】
YAMAHA RD50 (前編)
YAMAHA RD50 (中編その1)
YAMAHA RD50 (中編その2)
YAMAHA RD50 (後編)
YAMAHA RD50 (補遺)

posted by 「い」 at 13:23 | Comment(3) | TrackBack(0) | 輪,輜,車
[この記事へのコメント]
  1. ご承知かつ、今更かもしれませんが・・・
    こういうwebカタログが音叉印にはゴザイマス。

    http://www.yamaha-motor.co.jp/parts-search/index.jsp

    ただし、Mac非対応の様で、親切なのか配慮がナイのかワカンナイカイシャではゴザイマス。(苦笑)

    不肖の弟子はコレ(とか)を参照しながら保有車両をイジっております。(私はWin環境でゴザイマスので・・・)

    結構『引っ張って』利用している部品も多々ありますので、品番ダイレクトで検索して出てくるものも多かろうかと推察する次第です。

    ※スクータ用内燃機関一式が実はカート用にも使われていたり、なんてのもアリマスので。

    お役に立つならウレしいのですが。
    Posted by さんどろ at 2008年08月01日 01:31
  2. お知らせ頂き有り難うございます.日本の YAMAHA のヘボいパーツ検索システムは存じております.

    (ちなみに Mac や Linux ユーザの方々のために申し上げますと,あれは UserAgent を偽装しても Safari でも Firefox でも動きませぬ.将来標準準拠モードのIE7以降になれば Win でも後方互換性がどうなるか判ったものではない.データベースに連携させた部品検索の Web 表示など,さして複雑でもないのに技術力が乏しいのか,安易に Win IE5.5〜6系独自拡張の JavaScript など使って自ら動作環境を狭めておる.つまりは標準規格への取り組み姿勢が駄目々々なのですな.米 YAMAHA は流石にそのような無様は晒さぬと見え,ちゃんとマルチプラットフォームで動きます)
    http://easyurl.jp/eo7

    まぁ,ワタシもサブの Win 環境を起動すれば見られますが,何もこちらがわざわざ意識の低い磐田 YAMAHA の方に合わせてやる義理もございますまい.
    また,日本製絶版車パーツでしたら,英欧のパーツディーラやフォーラムの方が余程情報が充実しておりますれば,頼りになるのはむしろそちらの方でございます.

    ともあれ,これがワタシ自身のバイクであれば,持てる応用技術を如何様にも臨機応変に駆使してチャッチャと片付けますが,そうしてしまっては正直なところ読物として面白くなりませぬし,何よりもオーナーはビギナーかつ田舎住まいの毛玉明にて,引き渡し後には手厚いディーラサポートは全く期待出来ぬゆえ,片田舎の自転車屋にでも引き継ぎメインテナンス出来るような配慮をすべきでありましょうね.

    痩我慢を気取るわけではございませぬが,そのくらいの縛りでもなければ,今のワタシには簡単過ぎて詰らないのも正直なところでありまして(笑),「い」本人は RD50 を弄る事で16歳の少年に戻った気分を味わっておりますので,やはり16歳当時ぐらいの悪戦苦闘をせぬと,気分が出なかったりも致しましてなぁ.
    Posted by 「い」 at 2008年08月01日 02:55
  3. 後日,追って調べてみますと,MR80やポッケ50の C.D.I.は RD50と同じ4本リードで,かつ配線の色も同じ(コネクタ形状はやや異なる)ようですから,おそらくそちらであればより簡便に入替が出来るものと思われます.

    ポッケの C.D.I.が50cc にも関わらずスピードリミッタ回路用のリード線を持たないのは,ポッケのエンヂンや減速比が初手から60km/h 以上は出ない設定からでしょうな.
    先々の故障に備えて今から C.D.I.のスペアを確保しておきたい方は,お心に留め置かれるとよいかと存じます.
    Posted by 「い」 at 2008年08月06日 05:04
[コメントをどうぞ]
お名前: [必須]

メールアドレス: [必須.表示しません]

ホームページアドレス:

コメント: [必須.お行儀の良くない言葉にはエラーを出します. なお,サーバの気紛れでコメントの反映が遅れる事がありますが,気長に御覧ください]

認証コード: [必須]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。