2006年02月03日

「正しい」服装

ちょっと前に「電車男」ってありましたよね.ワタシはアレが2chで祭りになってた時しか知りませんけど,あの中で大きな役割を果たすエピソードに「脱オタ」なファッションってあったと思うんですよ.ぶっちゃけ人間って先ずは見映えですからね.
まぁ現実には,普通のオタ諸君が聞き齧りの付け焼き刃で服を買って着りゃ,そんときだけは小洒落て見えるかも知れませんが,それはその組合せ1種類ですよね.他の服がもろアキバ系とかだったら,着回しも利きませんし,デート毎に新しい服を買い続けるだけで大変な資金負担になることは間違いない.つぅかそれは相手がリアル中谷美紀ぐらいでないとそれだけの過重資金負担には耐える気持ちになれないのではないでしょうか.

というわけで最初の書評は,
Charles Hix,“Dressing Right” (初版1977頃)

書名からしてタダゴトでない.だって「正しい服装」ですよ?「正しい」なんて言葉は生半可な覚悟で使えるもんじゃありませんが著者は自信タップリです.この威丈高な態度が頼りになりそうじゃありませんか.え?ファッションの本なのに25年前の古書で大丈夫かって?
大丈夫です.と言うのはですねぇ…

この本の面白いところは,よくある媚びたメンズファッション本と違って,読者に余計な夢を与えないところです.
のっけから,
モデルのような体型の男は,何を着ても似合う.してまた,我々の大多数はそれとは程遠い体型である.であるから我々がグラビアのモデルの着ているようなものを買っても自分で着て鏡の前に立てば失望が待ち受けているのは自明である.(意訳)
と決めつけます.実に冷徹で反撃の余地もありません.個性の表現がどうとかパーソナリティがどうだとかの見え見えなオタメゴカシが無いんですね.

ついで,男の体型をバッサリと,チビ筋肉,大デブ,下っ腹デブ,ガリ.みたいな類型に分類します(また挿絵に示された野郎共が容赦なく不格好です).そして各体型によって流行に関係なく着るべきアイテム/そうでないアイテムを具体的に指南している.
このあたりがいかにもプラグマティックで,アメリカだなぁと思うところです.まるで軍事技術教本のようではありませんか.

例えば一例.大デブは腹の出たのを隠そうとしてタイトなパンツを穿きがちだがそれは完全に間違っていて,ある程度の腰回りにゆとりを持ったパンツの方が却って見映えが良い.但し脚のシルエットまで太くては駄目である.とか,ガリが流行のつもりでVネックなど着ると只でさえ貧弱な首がさらに細く見えて駄目である.とか,的確にしてミモフタもない指摘がビシビシされており,まぁ,よっぽど不格好な体型でもなきゃ,だいたいこの指摘に沿ってりゃ,そう見苦しい格好にはならなさそうな感じを受けてしまうところがもう著者に呑まれてます.

そして,自分の体型に対する基本戦術が理解できたところで,所有している服を分析し,次は戦略.すなわち服の揃え方でして,分析して戦略上不適当な服があれば取捨選択せよ.そこで流行を意識するもしないも読者諸君のポリシー次第だ.と突き放して来ます.実に理詰めです.
その反面,服飾用語の説明が簡潔な割に親切なのも美点でして,門外漢にも解りが宜しい.あちこちのファッションフォトから持って来た写真例の選択も(モデルが美男すぎますが)悪くありません.

というわけでこの本は,初版が25年前にも関わらず,今日の脱オタファッションに悩む若者諸君には基礎技術教本として実に有益な情報満載の好著なのですが,つかワタシはこれで服装的に脱オタしたと言って過言でないのですが,あいにく和訳がありませぬ.いや,実は1979年に和訳が出ていたこともありまして,「い」少年は最初は和訳で読んだのですが,なんせ昔の事ですし入手が難しいかも.
念の為,邦題は『男の着こなし』 訳は穂積 和夫氏だったと思います.

ワタシは,ずっと昔に友達に貸したら帰って来ませんでしたがね.いくらデブのお前に役立ったからと言って借りた本は返せよM浦.
posted by 「い」 at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録
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