2006年06月01日

Vespa君覚書

ひょんな事から「い」の主力移動機関に抜擢されてしまったVespa君について書き留めておきます.納車から50日が経ちました故,ファーストインプレッションよりは幾らか客観性も高ぅございましょう.

Vespa側面
写真では非常に奇麗に見えますが実物は然程の事もございません.ワタシの座骨神経痛に因る後ろ寄り着座位置の関係でタンデムシートベルトが邪魔になるため外してあります.

このブログでは格別に石油臭い話をする心算はありませぬが,最近のワタシは耄碌して物忘れが酷くなっております所為で,過去に自分がどんなバイクや車に乗っていたかを失念することが多くなりまして,此の様なメモランダムを残しておきませんと必ずや10年後には解らなくなるに違い無し.
いや君,笑ってはいけない.現実に最近では,自分が嘗て空冷モノサスのDT125に乗ってたことをボッコリ忘れ居り,出て来た古い白黒写真で思い出したくらいでして.それは若き日のワタシがDT125で土手に乗り上げて引っ繰り返ってるダセー写真なんですがね.あゝ思い出さねば良かった.

その後のC||| 92は覚えてたんですがなぁ.でもその後は何だったか.GT125CB72だと思うんだが.いやCB50だったかな.
無論,偶々「ベスパ」とかで検索してこんな裏路地ブログに迷い込んでしまった方におかれましては,この先を読んで頂いても参考のカケラにもなりませぬので早々にウインドウを閉じられた方が宜しぅございますよ.


【車両概要】
車名:Vespa P125X …の様な物
年式:1979年頃
納車時走行距離:2690km …と自称
納車日:2006/04/10 Mon 23:00 天候・雨
納車時状態:準不動 (エンジンを掛けた事はあるが過去1年走行実績無し)

【納車以降,本日06/01までの整備概要】
*電気系
バッテリー,ホームセンタの裏で拾って来たYT4L-BSを充電して代用.正規品は YB9-Bの模様
電気配線,目視可能部分は全てC'K,適宜断熱処理.
電気配線,車体シャープエッジに各所接触あり,適宜被覆処理
ウインカーリレー接点,研磨修正
ヒューズ接点,研磨修正
メインスイッチ,雨水に拠るリークが断続的に発生,接点部形状研磨修整
ターミナルボックス,ブチルゴム防水処理
ホーン,接点研磨修正
灯火類,接点研磨修正.
スモールランプ切れ,交換(12V-10W) ¥120-

Vespaメーター周りイグニションキースイッチの位置が悪く,キーホルダーが黒塗装のメーターリムを傷付けてしまいます.メーターリム材質はアルミでしたので塗面を剥離し,磨いて軽くバフを掛けて良しと致しました.中途半端に剥げているよりはマシな見栄えかと.

[所見]
染み沁みと艤装が悪いですねぇ.基本計画やった人は優秀かも知れぬが現業スタッフがヘボい感じです.何と申しますか,このスタッフは電気配線取り回しの何たるかを学ぶ機会に恵まれなかった上に真面目に考えた事も無いのではなかろうか.部品個々の品質はむしろ同時代の日本車より良いのに.これでは経時劣化後に電気系の故障が頻発するは必至と推察致します.無論,現代技術での補正は容易でございますが,どこまで突っ込んで改善するかの見極めが面倒ですな.

Vespa後
後ろから見るとオシリむっちり.

*エンジン,点火,燃料,駆動系
ピストン|シリンダヘッド,カーボン落し
シリンダヘッド,面出し修正バリ取り
プラグホール,ネジ山が軽くナメていたので修正
プラグ交換.NGK B7ES ¥280-
フュエルホースクリップ,緩み漏れ,TRIDONに交換
エアクリーナエレメント,洗浄
インテークエアダクト (ベローダクト)破損,交換 ¥800-
HTケーブル,プラグキャップ,防水・防振処理
IGN coil | CDIユニットアースケーブル,断線修理
燃料タンクC'K.錆は少ないが汚れていたので洗浄
フューエルタップ漏れ,パッキン自製修理
キャブレタ,当り面不良+オーバフロー,O/H及び面研,一部自作コルクパッキンに置換,ミクスチャ調整 (暫定セッティング)
ミッションオイル交換,10W-40,Castrol ¥112-

[所見]
ここでも個々の設計や部品そのものは良いのに艤装も組付も悪い.ゴム部品の質は今も昔も変わらぬ劣悪.クランクシャフト側面のシールなぞは当時のイタリアのオイルシールの水準を考えると膚に粟を生じますな.またフュエルタップの設計やホースの取り回し等は下手な設計と言うより殆ど設計ミスの領域だと思いますが,この時代からずっと後まで前動続行のようです.改善意識が乏しかったのか組織が動脈硬化に陥っていたのか.

キャブレタの構成も首を捻るような出来で,普通ならDELL'ORTOがこんな設計を持ち込んだ段階で差し戻すべきではなかったでしょうか.こういう性格の車にフラットスライドを使う意味は無いどころか全く不適当な判断にて,単に天地寸法が短いから使ったとしか思えぬ.大した蓋然性も無いのに徒に奇を衒ったが故の潜在的不具合がアリアリと眼前に想起されます.
とは云え,この辺りは仮に抜本的改善を企てたとて多くの工数を要してなお得られるものは並かそれ以下の信頼度でしょうから,眼に見える所では手を加えずに実用上問題ない程度に摺り合わせて誤魔化す.という方向で設ることに致します.

*車体系
FブレーキO/H,コントロールワイヤー洗浄給脂
RブレーキO/H,コントロールワイヤー洗浄給脂
Fサスペンションリンケージ,給脂(分解せず)
スピードメータケーブル,洗浄給脂
スロットルカラー|ワイヤー,洗浄給脂
クラッチコントロールワイヤー,洗浄給脂
メーターリム部塗装剥れ,手直しバフ掛け
荷掛けフック,製作増設 ¥105-
車載用ジャッキ,調達搭載 ¥480-
センタースタンド,曲り変形脱着修正 (元から強度不足か),フットゴム修正,バンプラバー変更
ステップボード,転倒による歪み修整
ハンドルロック,修理
ヘルメットフック,破損していたので交換 ¥1000-
シートロックラッチ,ガタ調整
Rフェンダーガーニッシュ,割れ修理,剥離再塗装,三角マークステッカー作成貼付
Fサスユニット,Fフェンダー,右部レッグシールド,グローブボックス蓋,補修塗装(ジンクリッチプライマ+ウレタンパテ処理の上アルキド樹脂缶スプレー ¥198-ボカシ薄吹きバフレックス掛け手磨き仕上)
レッグシールドミラー装着(ノーマルミラーは振動で視界不良につき撤去) ¥1800
車体各部,ジンクリッチプライマ下地処理の上タッチアップ
タイヤ,交換(PIRELLI SC93→DUNLOP D306) ¥4550-
スペアタイヤ,虫ゴム点検エア補充

Vespa Fフェンダ周りFフェンダのクレストは塗装が傷んでいたので剥きましたらアルミだったのでそのまま塗らずに軽く磨いて着けました.「軽く磨いて」というところがミソでございますね.アルミを磨き過ぎ,あまつさえ強くバフ掛けてテカテカにしてしまうのはダサさの極み.

同様に,塗装もVespaやFIATあたりの大衆車がウレタン厚吹きポリシャー磨きテロテロ鏡面で塗られているほど田舎臭いものはありませぬな.そういうのはアメ公が設りがちなオーバーレストレーションのフェラーリ辺りに任せておけばよろしい.いかにも塗膜が薄げな質量感の軽い仕上げこそVespaのようなアシグルマに似つかわしい質感と心得ます.

ちなみにレッグシールドミラーは粋がって付けたわけではなく,振動対策もさることながら過去の転倒でアルミモールが曲っておる箇所を隠す意図もございます.当然ながら単なる美観だけのために面倒なモール交換などする心算も金もありませぬ.

Vespaテールエンド実に粗悪なプラスチック材のRフェンダーガーニッシュは金型寸法からして間違っておるのか,割れる事が多いようですな.
寸法を削り合せした上でホットメルトとウレタンパテでクラックを埋めて再塗装しました.オリジナルはグレーのようですが手元に色の合う塗料が無く,昔アバルト・ビアルベロのエキゾーストを塗った時のシルバーが残っておったのでトップコート無しの半艶で塗ってございます.プラスチック材質が解らなかったので下地は当てずっぽうのPPプライマーですがいちおう定着はしておるようで.

[所見]
流石Vespaと唸らされるのは車体の基本設計.名人仕事と申しますか素晴らしく良く出来ておりますね.このような大型プレス機と長い溶接長の使用が許された条件で,再びモノコック構成で現代スクータを再設計したら,途方も無く魅力的なものが出来る気が致します.久々にシャシ設計で眼福を得ました.これはFIAT 600以来の事かも知れぬ.
大型アルミダイキャストも非常に魅力ある使い方をしております.但し鋼鈑の質は当時のイタリア工業界の通弊にて芳しくなく,また塗装も剥いてみると下地処理が悪い.ここでも「設計最高製作最低」という1970年代イタリアの法則を遺憾なく表現しておりますね.

え?以上で幾ら掛ったか.ですか.金を使った所は値段が書いてある所のみなれば,総額¥9445-ですか.半分はタイヤ代ですが.
随分安上がりに聞こえるかも知れませぬが,作業は本業の合間に自分でやっておりますし材料は全部有り合わせの上に手荒く,料理に例うれば賄い総菜にて所詮はお客様に出せるような水準の仕事とは申せぬ次第.

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*To Do List (緊急度低)
ハロゲン|クリプトン電球換装の研究
シフトコントロールワイヤー,交換給脂
フットボード下,白色アンダーコートを試す
マフラー,焼いてZYNOLYTEで塗装.EXポートの廃油滲み対策
ファンシュラウド,剥離再塗装
Fブレーキ,セルフサーボ量増大を意図したチューニング
油圧ブレーキ用アルミ|銅ガスケットワッシャをオイルドレン用に転用
冷間時始動性があまり良くないのでキャブ再調整を要す

【関連エントリ】
油臭い話
ブックマーク -23 またはラララ科学の子
プラグ
電池電球

posted by 「い」 at 20:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | 輪,輜,車
[この記事へのコメント]
  1. その後To Do List の中で実行した項目:

    Fブレーキ,セルフサーボ量増大を意図したチューニング
    http://lagenda.seesaa.net/article/42968702.html

    油圧ブレーキ用アルミ|銅ガスケットワッシャをオイルドレン用に転用
    http://lagenda.seesaa.net/article/40077082.html

    冷間時始動性があまり良くないのでキャブ再調整を要す
    →2007.02 済み.以後好調.
    Posted by 「い」 at 2007年05月31日 14:40
  2. その後To Do List の中で実行した項目:

    ハロゲン|クリプトン電球換装の研究
    http://lagenda.seesaa.net/article/48470347.html
    Posted by 「い」 at 2008年05月15日 15:05
  3. その後,折々にタイア空気圧を点検する上で奇異に思いました事には,どうやらVespa乗りの方々には,タイヤ空気圧を著しく高めに入れる習慣があるらしい.

    試みに「ベスパ 空気圧」などでぐぐってみますと,例を前輪に取ると1.6〜1.8kg/cm2ぐらいの例が多く見受けられます.メーカの標準指定空気圧は1.23kg/cm2ですから,30〜46%も高い.不思議な事に,ワタシの検索の仕方が悪いのか,伊・英語圏では似た事例は見当たりませなんだ.してみるとこれは日本特有の現象ならんか.

    むろん普段に乗る上で,経時変化による減圧分を予め見越して10%ほど多く入れておくのは常套手段ですが,3〜5割も高いと云うのは如何にしても懸け離れ過ぎるようで,またその理由も判然とせぬ.

    一説には「指定空気圧は30年前の旧く硬いタイヤが前提なので,今のタイヤでは高目の方が良い」ということがあるらしい.

    しかしそれは全く納得が行かぬ.と申しますのは,OE 装着の PIRELLI SC93 の横腹には,負荷能力を示す数値 : “Max Load 430lbs”と書いてございます.0.453592 × 430(lbs) = 195.04456(kg)なので,負荷能力195kg と言えば,現代のロードインデックス単位(LI 値)に直しますと…

    http://easyurl.jp/imp

    …つまり LI=51となり,これは目下嵌めておる DUNLOP D306(51J) や,MICHELIN S1 と同じであって,旧いタイヤだからと申して格別に高強度低剛性というわけではない (逆に言えば,現代のタイヤでも昔と大きく異ならないセッティングで使えるように配慮されている) ことがわかります.少なくとも PIRELLI SC93→DUNLOP D306の交換例では,指定空気圧より高める技術的必然性は無いということになる.

    しからば体感面の事柄であろうか.まぁ乗り味の好みは個々人の勝手でありますから,空気圧を高めようが低かろうが構わぬのですが,それにしてもタイヤ自体には設計想定空気圧の範囲があり,そこから大きく逸脱すれば,当然ながら想定した接地面形状から懸け離れてしまってタイヤ本来の性能発揮能わざる事は言うまでもない.

    ではその範囲とは,いかほどのものであろうか.試みに国産スクータで車重100kg 近辺のものを5〜6機種ピックアップして調べてみますに,およそシグナス X125の1.5〜アドレス V125の1.75kg/cm2あたりの範囲内にあることが解りました.但しこれら国産スクータはエンヂンを車体中央寄りにレイアウトしておりますから前輪荷重は多かろう.
    方や Vespa は独特の車体レイアウト上,前輪荷重は極めて軽ぅございますゆえ,これら国産スクータより低圧で事足りる勘定であります.これは近年の Vespa ET4の指定空気圧が1.3kg/cm2であるということからも裏付けられますな.

    というわけでアレコレ考えて回り道をした末に「特に空気圧を高める理由無し」との結論に立ち至ったわけであります.
    ちなみにワタシ自身は試し試しして,温間時1.4kg/cm2ぐらいが最も好みに合うようですので,実際には指定空気圧近辺のやや高目で運用しておる次第.
    Posted by 「い」 at 2008年10月22日 11:42
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