2007年08月21日

ストラトス・フォー

既に8月も後半ではありますが,まだまだ暑ぅございますね.こんな時の「い」は良ぉく冷えたソーメンなぞをツルツルと…

…ってなことは致しませぬ.暑いからと申して冷たい麺類を常食しますと,どうしても体力が落ちて夏バテの因,また腹も冷えますでな.もちろん麺類が悪いというのではありませんで,熱い麺類なら毎日ドンドン食っておりますよ.つまりは平素通りパスタが主食ということに過ぎぬわけですが.

パスタと言えば近年,方々の店でカペリーニなぞのパスタを冷製に仕立てて出すようになってございますが,どうもワタシのセンスが古いのか,パスタ・ルンガ (長麺) の冷製というのは古典イタリア料理には無かったものでもあり,奇を衒ったような気がして馴染めませぬ.好きな方には大きにお世話でしょうが,ワタシにはアレが美味いとは感じられぬのですわぃ.

その癖,昔からあるファルファッレとかフズィッリとかオレッキエッテなどのパスタ・コルタ (短麺) の冷製は好きだし,それどころかペンネ・カルボナーラなぞは冷めたのでも平気なのにのぅ.我ながら首尾一貫せぬ.

はっ.たった今,なぜパスタ・ルンガの冷製に食欲が湧かぬのか悟ったような気が致します.それはつまり,冷製の長麺はツユの絡みが少ないため,啜って食わないと美味くないからではあるまいか.一方,短麺系は見ての通り凹凸面が多く,ツユとの接触面積が大きいので,意識してツユを吸引せずとも足りるのでは.

ツラツラ考えるに,他の冷製長麺,例えば平壌冷麺も冷し中華もぶっかけうどんも静岡名物磯おろし蕎麦も,冷たいオツユがサラサラ系の低粘度になるは物性上の必然であります.もちろんワタシもその種の麺ならば躊躇いなく啜って食うでしょうが,これらが仮にイタリア式パスタの盛付で出て来たならば,ヤハリ外観に幻惑され,まずはフォークでくるめてパク.と食うであろう.がしかし,それでは粘性の低いツユが皿に置いてけ堀になるわけで美味い食い方とは申せますまい.

方や温製の長いパスタの場合,大概のソースには強いトロミがありますれば,ソースをメディウムにしてフォークでクルクルと絡め,バクリと固め食いした方がウマイに決まっておるわけでして,逆にツルツルと啜って食ったのでは,ソースが飛び散って一張羅のフェレのシャツを台無しにするわ具材は下の方に溜ってしまうわで,食い方として美味くない.ワタシの場合,食うのはどのみち日常宅内ですから,これは専らマナーよりも美味い不味いの問題.

# ワタシが日常宅内でフェレのシャツを着ているかどうかというのはまた別問題と致しまして.

と,一先ずの仮説が立ったところで話はガラリと趣向を変え,今昼は熱いフォーを作って食うことに致しましょう.
…いや何となくヴェトナム麺と云うと夏に相応しい食い物のような気がするではありませぬか.こんな気紛れはいつものことでございますね.

さてそのフォーでありますが,最もポピュラーなところでは,スープも付いて手軽な「味の素」の「アジアめん」シリーズがあり,近所のディスカウントスーパーにも88円で出ておってワタシもよく買いましたし,また東南アジア方面の人も箱買いに来るらしく,時々ゴッソリ丸ごと売切れになっていたり致しましたな.

然るに何ということでしょう,幾ら我々が贔屓にしても所詮は寡勢,全国的には売れ行き芳しからなんだか,無情にも今春に製造中止となってしまったのであります.だがそれでも絶望することはないぞ諸君,スープなしの単体フォー乾麺なら最近は激安スーパーでも売っておる.

その場合のスープですが,これもあまり悩まずともよい.鶏・魚ダシとヌクマムのスープを自作するのは,元の味が解っておりさえすれば再現するは容易い部類ですし,そもヴェトナムの麺スープは日本の麺ツユやラーメンスープと違い,さほど凝ったタレではない.またフォー自体は麺の味にクセが少ないので,拘りを離れれば大概のスープと合うのであります.極論を申せば和風のツユでもよろしい.
では実際にやってみようではありませんかその極論の方を.

ツナ入り和風フォー
ここでは,全国のうどんファンがこぞって高評価をつける「ヒガシマルうどんスープ」をベースに,空芯菜の代りに水菜とカイワレ,ボイルドチキンの代りにツナ缶,香菜の代りに粉山椒でやっつけました.写真では伝わらぬがグレープフルーツの皮をピールして柑橘系の香りを付けております.こうなるとサイドディッシュには絵的にも味の点でもイナリズシが無いと恰好がつきませぬな.

当地では関西風ウドンツユはあまり売っておりませぬので,手軽に入手できる上に安価で長期保存可能な粉末ヒガシマルスープはたいへん重宝致します.えらいぞ関東の辺境伊豆まで売り込みに来たヒガシマル醤油の営業.但し乾燥ネギが入っておるのは食感を損ねて蛇足ですのでアク取り網で掬い取ると宜しい.

一杯では物足らぬ.お代わりにトマトとインゲンマメのフォー
トマト入り和風フォー

スープは一転して関東風のカツオダシベース,つまり蕎麦の甘汁に近い味付.トマトは先日も扱った「シシリアンルージュ」を湯剥きし,姿を崩さぬよう軽く煮てから半分にカットしました.上に散らしたのは揚げ玉でして,これはシシリアンルージュと油の相性の良さからであります.

先日の excite bit ニュースで「トマトの味噌汁は本当に美味しいのか」というのがありまして,ワタシは「味噌汁は疑問だがカツオダシの吸物なら理に適っておるのではないか」とコメントしましたが,これはその実証実験を兼ねております.黒っぽい色味は黒糖で補い,醤油を手控え,トマトの酸味を殺さないように心掛けてございます.

とまぁ,こんな邪道なことばかりやっておっては,冷製パスタのことを衒奇などと嗤えませぬが,異種の麺とスープでも,先入観を捨象して食ってみれば乙な組み合わせというのはあるもので,同じく先日の excite bit ニュースでは,「そばラーメンって、どんな味?」なる記事がありましたが,日本蕎麦とラーメンスープなぞも按ずるより産むが易しで実際にやってみせますと…

…いや,今昼は既に麺2杯とイナリズシを食ったから,幾ら何でもこれ以上は暴食であろう.この話題はまた後日に回しましょう.

【関連エントリ】
火星へパスタ持って
おみおつけ
シシリアン・ルージュ
posted by 「い」 at 13:43 | Comment(1) | TrackBack(1) | 呑み喰い
[この記事へのコメント]
  1. 「タイトルのフォーは解ったが,ストラトスは何処に出て来るのだ」という内々の御質問がありましたのでお答えしておきますと,“Stratos” ってのは“層を成した (平らな) ” ってな意味合のラテン語でして,現代イタリア語だと“Strato” となります.つまり,成層圏の「層」ですな.これはフォーの平麺のイメージからの聯想で付けた表題であります.

    なお,紛らわしい表題を付けたお慰みに余談を申しますと,旧日本海軍に三菱96式陸攻という機体がありましたが,この設計者は「本庄」季郎氏と申され,双尾翼のスマートなフォルムから,連合国側の飛行士には「ツインテールの美人」と呼ばれた…というエピソードがございます.
    さらにちなみに「『ツインテール』は近年のヲタク和製英語であって英米人がそんな言葉を使う筈が無い」という尤もらしい論がありますが,英語にも「双尾翼」という文脈で“twin-tailed”という用語例はございます.嘘だと思ったら“mitsubishi twin-tailed”などの単語でぐぐって見られるとよろしい.F-14A なども,双尾翼戦闘機が珍しかった昔は,そのように言っておりました.

    ん? 何の話か解らぬと? いやこれは解る方にだけ解れば結構.
    Posted by 「い」 at 2008年06月09日 16:52
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