2008年06月05日

マイクロドライプリンタ

モノとは,集まり出すと続けざまに集まる.ということがあるもの.

例えばワタシの友人などは近年,古い原付バイクを集め出したらば,バイクがバイクを呼んだかのように増殖し,タチマチにして車庫に満杯となったそうな.ワタシも昔,何気なく swatch をひとつ買ったらば,swatch が swatch を呼び,どんどん集まって一山出来た事がございます.

このようにモノの集散というのは明らかに周期性がある気がする.むかし寺田 寅彦が書いた随筆の中に,路面電車の混み具合の周期性 -なぜ路電は満員状態とガラ空き状態を繰り返すのか- について述べたものがありました.また航空便は事故続発と安定運行を繰り返す傾向があるが,これも似た理論らしい.かくの如き周期性が普遍的現象だとすれば,近年のワタシは将に赤貧洗うが如き有様が続いておるので,もう暫くすれば,自然に何処からともなくお金がワンサと入って来てウハウハに.

…てな夢物語は措きまして,いまワタシの手許に集まりつつあるはプリンタであります.それも難ありイワクありのものばかり5つほど集まって来ておる.これも切ッ掛けは何も無い.強いて言えば過日友人がインク詰まりを起した EPSON のプリンタを呉れただけのことである.これは格別の事ではなく.インク詰まり如き,洗浄すれば大概は復活するであろう.だが次に来たのがチト変り種で,ある日,何気なく開いた BBS にこういう書き込みがございました.

529番の発言者 はワタシでありまして,興を催して書込んだ後で半ば忘れておったのが,アリガタイ事に先方はこれを忘れず,暫く後,本当にタダで送られて来たのですな.提供者の方には足を向けて眠られぬ.
して,この話にある MD-5000というのは,今はもうプリンタを造っておらぬ ALPS 電気の「マイクロドライプリンタ」というもので,かつてはデザイン屋の界隈で一世を風靡した機械.かく申すワタシ,この MD-5000を頂戴する前から,MD-2000S というのと MD-1500,合計2台を持ち居るのです.

これら各機の特徴は,インクリボンを熱で転写して印刷するという,今や殆ど滅びた旧式機構なのですが,現在主流のインクジェットプリンタに不可避なインクの滲みが原理上皆無なため,まずもって線図や文字を印刷した時の鮮鋭度が非常に高い.また,金色銀色白色などの特殊な色のインクリボンを使えるので,デザインカンプや単品印刷物,版下などの作成に至便のみならず,印刷したモノが極めて褪色や水気に強く,水転写デカールや強靭なアイロンプリントの作成なども自由自在という,イマドキのプリンタでも出来なくはないがチト面倒なことを易々とこなす,余を以て代え難い能力がございます.

とは申せ,今のワタシはその種の仕事はやっておらぬ,いや決して廃業したわけでもなく断っておるのでもなく,単に依頼が来ぬだけで.差し迫ってこのプリンタが動かずとも困るわけではない.尤もプリンタは困らぬ反面,仕事が来ぬのは大いに困る.がしかし,きっとこの拙文を読んだ人々から高額な依頼と高いレストランで食事しながらの打ち合わせがワンサと入って来てウハウハに.

…てな夢物語は措きまして,発売当時,デザイナーどもに評判が良かったのは,そのアピアランスデザインの所以もあったかと存じます.デザインしたのは本拠を米に置いて国際的に様々な案件を手掛けておる IDEO という大手スタジオで (時々混同されますが I.DE.A に非ず.鉄道デザインに詳しい方なら「 Amtrak Acela のデザイン」というとピンと来るかも知れませぬ.見れば色彩計画が MD-1000とソックリである) ,リンク先にあるように1997年には iF Hanover と Red Dot ,1999年には ID Magazine Design Distinction と,幾つかの賞も取ってございますね.イマドキの三次元曲面を多用したトレンドから見ますと10年の時代差は否めぬが,作そのものは良く描けておると思います.機能的な面では旧型のMD-2000系の方が,フォルムはぎこちないものの厚紙給紙メカニズムを持つ点や筐体剛性の面では優れますが,それも 同様に IDEO によるものであります.

とまぁ,素敵なプリンタがタダで貰えて良かったね.で終われば話はメデタイのですが,それが実は一概にそうとも言えぬ.

ではどこが難ありイワクありなのかと申しますに,旧式機には不可避の運命ながら,メーカーの修理サポートが先の2008/03を以て終了し,最大の武器たる特殊色インクリボンも幾つかは既に廃盤となり,残余のインクリボンも疾うに店頭から消え,通販供給も先細りの一途という秋霜落日の運命にあるからで,これに頼って稼いで来た人はさぞ心穏やかではなかろうと存じますが,さらに重大な問題は,インタフェイスがパラレルポート接続であること.双方向パラレルは元々 Mac にはございませぬし,今や Win 機でも備える新型機は稀,かと申して劣性能の旧式コンピュータで負荷の掛るグラフィックワークを扱うのは苦痛以外の何者でもございませぬ.しかし幾ら IDEO の美しい作品でも,印刷出来ぬプリンタをオブジェとして鑑賞する趣味はワタシにはない.

尤も今風のインタフェイスが全く使えぬというわけではなく,当時は USB しかないパソコンを使う場合には専用別売の USB-パラレル変換ケーブルで繋ぐ仕組になっておったのですが,このケーブルも疾うの5年前にディスコン,今は Yahoo! Auctions などを見ても,求める物は誰も同じと見え,多寡が中古ケーブルの分際で数K円にも高騰しておる有様にて,仕事をやりもせぬプリンタにワタシがその多額な出費を逡巡してもケチと非難される筋合はありますまい.

これがもし,我がメイン環境の MacOS X 10.4 Tiger で汎用の USB-パラレル変換ケーブルが使えるのであれば,HARD OFF あたりにあれば数百円,新品でも2k 円も出せば買えますが,世の中はそう甘く出来てはおらず,純正ケーブル以外では動かぬ建前にて,実はワタシも汎用変換ケーブルなら前々から持っており,サンワサプライの双方向 USB-CVPR という奴 (ちなみにこれは ATEN の UC-1284B と同じ) なのですが,勿論,それで繋いでもピクリとも動かぬ.

# 正確には MacOS 9 であれば動かす方法は無くもないらしいのですが,流石に OS 9環境は古過ぎ,今更戻る心算はございませぬし,パラレルポートを備えた古い Win 機でそのテの作業をするつもりもない.

どうせこのままでは動かぬし,もとより稼ぎもアテには出来ぬなら,1円も掛けずに無理繰り動かしてみしょう.というわけで,こう云う時には必ず出馬を仰ぐお約束の Ghostscript を担ぎ出し,但し問題の根幹は汎用のケーブルにあるのですから,Ghostscript だけでは全く解決にはならぬゆえ,関連ファイルも一緒に入れるわけであります.特に usbtb ですな.これさえあれば何とかなる…んじゃねぇかなぁ多分.
というわけで当て推ッ法に以下の4つを取って来てインストール.

まずは GPL Ghostscript.mpkggplgs-8.61-ub
次に gutenprint-5.1.7-ub
良く解らぬが要るであろう Foomatic-RIP January 30, 2008
んで最後に usbtb-1.0.15.uni

Alpsプリントダイヤログ1

usbtb のインストーラは,接続されておるプリンタとインストール済ドライバを自動認識してセットアップ致します.物理接続が確立しておらなんだり,プリンタの電源が入ってないとダメ出しをしてきますので言いなりに従う.これでプリンタが認識されりゃ何とかなる.という次第.実際にはここで認識し損なったり,全く同じやり方で再試行したのに駄目だったりと,まぁアリガチなことは色々起きますが,テキトーに再起動したり再ログインしたりしておるうちに何とかなった.つか最初は駄目だったので諦めて,寝て翌朝にプリンタの電源を入れたら何事も無かったように認識しておったりしまして,どうしてそうなるかは考えるだけ時間の無駄である.

Alpsプリントダイヤログ2

で,結果はどうかと申しますと,インストールしたままのデフォルトで,曲がりなりにも600dpi 固定での印刷は出来るようになりました.1200dpi に変更すると落ちて駄目,フォトカラーや鏡面印刷は未だ試さず.というところであります.まぁこれから暫くは暇を見ては色々と試行錯誤してみましょう.何らかの改善が見られたら,備忘のためにこのエントリに自分でコメントをつけておくことに致します.

なぁに,そうこうするうち,万一このプリンタを使う依頼が来たら,その時こそ金に糸目をつけずに Yahoo! Auctions で純正ケーブルを買えばよろしい.もちろんケーブルの値段はギャラに上乗せで.
posted by 「い」 at 11:41 | Comment(0) | TrackBack(1) | コンピュータ
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